「カービングならオガサカCTでしょ。でもFCのがカービング向きとも聞くしなぁ。どっちがいいんだろ・・・。」
カービングターンをする前提で板を選ぶとすれば、CTにするかFCにするかは悩みどころだと思います。ただ、あなたがCTかFCで《悩む》のであれば、CTをおすすめします。なぜかと言うと、少し厳しい言い方ですが、板選びに《悩む》程度の実力だからです。で、CTではどれくらい”キレ”のあるカービングができるのかが重要だと思いますが、少なくともJSBAのA級イントラは取れるくらいのポテンシャルは余裕であります。
今回は動画を交えて、具体的にオガサカCTの滑走性能についてお話しします。
photo credit: Snøgropa i Trysil via photopin (license)
そもそもカービングのキレってどうやってつくるの?
まずは、カービングターンの”キレ”をどうやってつくるかについてお話しします。カービングターンのキレをつくるには板の反発が必要となります。まずは、この大前提を知っておいてください。具体的には、谷回りで雪面をとらえて、板をしならせて、ターン後半でそのしなりを解放することです。そうすることで、次のターンに瞬間移動したかのようなキレのあるカービングターンができるようになります。
板をしならせて解放する、つまり板の反発をもらうことで、ただの落下運動ではないキレのあるカービングターンができるようになります。
例えば次のような滑り方ではキレのあるカービングターンはできません。
・ターン前半の谷回りがなく、ターン後半にエッチングが集中する滑り。
よくターン後半で”ガガガ”となってしまうときがあると思いますが、そのような滑り方では板を変えてもキレのあるカービングはできるようにはなりません。
ターン後半は板の反発を解放する時期ですので、板の反発をもらう準備はターン前半つまり谷回りでの捉えが必須です。なので板選びでも、第一に谷回りがつくりやすい板というのが、キレのあるカービングを習得する上で必要になってきます。
オガサカCTでどうやって谷回りをつくるの?
オガサカCTは谷回り習得に大切なトーションが適度にあるので、谷回り習得にこのトーションを使といいです。トーションとは板のねじれです。
実は、角付けは体軸の倒しこみだけではなくて、この板のねじれ(トーション)によっても行うことができます。
ただ、板をより立たせていくには体軸を深く倒すことは必要ですので、このトーションはターン前半の谷回りをつくるためのテクニックの一つに過ぎません。
トーション(板のねじれ)だけでは深いエッジングはできないんです。それは、足元のみの操作で角付けを深くできないためです。しかし、逆に足元でエッチングできるため、素早くエッジングしたいときなどには有効です。
ただ、カービングをやり始めの方はしっかりと板の真ん中に乗るとう感覚を先に覚えることをお勧めします。(棒立ちターンはこちらの記事を参考にしてみてください。カービングターン基本中の基本「棒立ちターン」を徹底解説!)
では、模型を使ってそのテクニックについて説明していきます。
この絵は切り替えのフラットが完了して谷回りの状態です。フラットを通ったら素早く前足首とと前膝をターンの中心部へとひねり入れるようにしてください。と同時にヒールサイドの場合は左腰もターン内側に倒していきます。
さらっと重要なことを言いますが、この足首とひざの動きがとても大切になります。
- ターンの切り替え期が終わる
- 前足首・ひざの順ターン内側にひねり入れる
- ほぼ同時に左臀部(おしり)もターン内側に倒してエッジングを深くしていく
ヒールサイドのポイントとしては、前ひざを曲げすぎないことです。ヒールサイドで前ひざを曲げすぎると角付けが浅くなっていきます。
トゥーサイドも基本的にはヒールサイドと動きの流れは同じです。
- ターンの切り替えが終わる
- 前足首・ひざの順ターン内側にひねり入れる
- ほぼ同時に右腰もターン内側に倒してエッジングを深くしていく
足首・ひざのひねりいれる動きはトゥーサイドの方がわかりにくいと思います。イメージとしてはねじをドラバーで回し入れる動きと似ています。雪面にねじを埋め込むようなイメージで、足首とひざを回し入れます。さらに回しいれながら、腰もターン内側に倒していくという三次元の動きを行うとより深いエッジングができるようになってきます。
ヒールサイドでは左臀部(おしり)をターン内側に倒していましたが、トゥーサイドでは右腰になります。
ヒールサイドとトゥーサイドで共通する事項としては、常に板の真ん中に重心を置くということです。冒頭でキレを出すには板のしなりが必要ということを話しましたが、板をしならせるためには、重心を板の真ん中にしておく必要があります。
重心がノーズ方向にずれていると、板はずれやすくなってきてしまいますし、逆に後ろ足により過ぎても適切にしならせることはできません。
簡単に流れを復習すると、以下の流れです。
- トーションをつかって、谷回りをつくる(足首・ひざをターン内側にひねり入れる)
- 角付けを深くして、エッジグリップを強くする(トゥーは右腰、ヒールは左臀部をターン内側に入れる)
- 板をしならせる(重心を板の真ん中におく)
そうすると、ターン後半の解放につながり、キレのあるカービングにつながっていきます。
オガサカCTでのカービング動画
カービングでのキレということを考えたときにはやはり、いかに谷回りから板をしならせるかが大切になってきます。板をしならせるためには溜めの時間が必要だからです。
今回紹介するのは、私の2015年1月に撮った動画です。まだまだ荒削りな部分も多いですが、少なくともオガサカCTでこれくらい”バビョン!”というターンはできます。むしろ、オガサカCTの適度なしなりと粘りのおかげでこのようなターンができているとも思います。
YouTubeで見る場合はこちら↓
ターン前半のとらえのキャプションも貼っておきます。
さらに少し解説をしますと、先ほど言いました足首・ひざの回し入れもつかっていますが、この動画では次の2点も気をつけています。
- 腰の向きを常に前足のアングルと同じ方向にする
- 切り替えで上に抜かないで、谷方向に素早く重心を移動する
そうすることで、より谷からのとらえを素早く行うことができます。
このように、切り替えで雪面コンタクトを維持しつづけると、谷回りというのがつくりやすくなります。
実は、知られていない足首・ひざを使うためのセッティング
ここまででどうやってターン前半から捉えるかという話をしました。ここからはセッティングのお話です。
実は、足首を使うにはセッティングが重要になってきます。
「ん?セッティングなんていじったことないけど?」
という人は、丁寧に読み進めていってください。読み終えると、セッティングに対しての知識がついて、「雑誌で紹介されているプロライダーのセッティングにとりあえずしよう」とは思わなくなります。
まず、先ほどの私の動画でのセッティングは前24度、後0度です。これは、何度も滑っていく中で見つけていった数字です。今後、自分のスキルが変わってくれば、適切なアングルも変わってくると思います。
これが例えば、このアングルが前9度、後-9度で同じように滑れるか?と言ったら、滑れません。理由はセッティングによって体の使い方が変わってしまうからです。
足首とひざを使うためには、アングルは前向きにしておかないとうまく使えません。なので、この記事を読んで足首をひねり入れる動きを取り入れようと思っても、前9度、後-9度のアングルだったら滑り方は全く変わってきますので注意が必要です。
滑り方の理論ばかり読んでも上達できない理由はここにあります。スノーボードは足を固定して行うスポーツなので、そのセッティングによって滑り方はだいぶ変わってきます。
ひざを使った方が良いと言っても、セッティングがひざが使えないセッティングだったら意味がないわけです。あなたがスクールやキャンプで滑りを教わるときは、そういったアングルやスタンスに対する考え方も一緒に聞いておいた方がいいです。
「そんなこと聞いて、教えてくれなかったらどうするの?」
極端な話、セッティングを重要としていない人からは教わらないことです。本当に上手い人は自分のセッティングに必ず理由があります。なので、セッティングに対して明確な答えを言えない人は、”その程度”のレベルということです。
話が逸れましたが、足首・ひざを使うにはアングルは前向きが良いということでしたね。ただ、ややこしいことに単純に前に向ければいいという話でもないのです。
前足のアングルを前に向けすぎると、逆に切り替えが遅くなるためです。
これは、アングルを前に向けすぎるとエッジから距離が遠くなってしまうからです。エッジ側にかけられる力が弱くなるので、結果的に切り替えにもたつき感がでてきてしまいます。
こうなったときは、ビンディング自体をつま先側にずらすという方法もあります。ただ、ビンディングをつま先側にずらすことによって、板のセンター出しがずれてしまうので、そこはあなた自身がどっちを優先するかが大切になってきます。
板のセンターがずれると、通常は直滑降でまっすぐ滑ることが難しくなってきます。トゥー側かヒール側のいずれかに、常に体重がかかった状態であるためです。
ビンディングをトゥー側に寄せるときは、板のセンター出しを重視するか・トゥー側のすばやい切り替えを重視するか、その人の考え方によって変わってきます。
ちなみに私はビンディングはセンターにつけたままで、トゥー出しはしていません。
セッティングに関して箇条書きでまとめると・・・
- 足首・ひざを使うにはアングルは前向きの方が良い
- ただし、前に向けすぎると逆に切り替えが遅くなる
- その場合、トゥー出しで解消できる
- が、センター位置からずれるので直滑降が滑りにくい可能性がある
まとめ
以上の点を踏まえると、オールラウンドモデルと言われるオガサカCTでも十分キレのあるカービングターンが可能です。むしろ、カービングをしっかりと習得したいという人には、硬すぎない板をチョイスした方がいいと思います。その方が、カービングで必要不可欠な《反発》を体で覚えることができるためです。さらに、カービング理論は数多くありますが、セッティングによって体の使い方は変わってきますので、セッティングも合わせてチェックした方がいいです。今日も最後まで読んでくれてありがとうございます。では、また。
オガサカCTの具体的なレビューは記事はこちらです。「板選びの参考になった!」と好評です。
>オガサカ CTがカービングを向上させたい人におすすめな3つの理由
いつも楽しく読ませて貰ってます
ところで、この動画のショートターン、JSBAのA級B級を受験するとどういった評価になるのでしょうか?
動き的にはBasicになると思いますが、やはり上下動の表現が少ないということになるのか?
必要最低限の荷重抜重における上下動という事で十分oKなのか?
雪男さん
コメントありがとうございます。
検定員によって多少のズレはありますが、この動画ではA級はおろか、B級も微妙です。というのも、JSBAのイントラ検定の《着眼点》からずれた滑り方だがからです。キレだけでいったらA級にも届く滑りですが、《着眼点》からはずれた滑りです。具体的には、ストロークやスピードを自らの意思でコントロールしてる様が足りないです。検定を目指すのであれば、キレを出すことを最初は考えて、その上でストロークや適切なスピードコントロールを求めるように練習した方がいいと思います。着眼点に関しては、スノーボード協定に詳しく書かれていますので、参考にしてみてください。
お世話になります。
いつも拝見してます。
この動画のターンはミドルですか?ショートですか?