今回は、カービングに挑戦したての人に向けて「最低限知っておきたい2つの要素」をお話していきます。あなたはこの2つが何かわかりますか・・?ヒントは次の中で2つです。
「角付け」「荷重」「ローテーション」「スピード」「目線」「やる気」「元気」「勇気」。
さぁ、どれでしょう? 正解は本文で^^
■JSBAの教程本は嘘つき?
今世の中に出ているスノーボード理論の本の中で一番詳しく書かれているのは「JSBAスノーボード教程」だと思います。
過去に数えきれないほど多くの理論書を読みましたが、まったくの初心者から上級者までが読んでためになる理論書で、かつこれほど細かく書かれている本は他に見当たりません。
というのもこの本がインストラクターの教科書という位置づけでつくられているからといのが大きいと思います。インストラクターはみんなこの本を持っています。なんせこれを買わないとインストラクターになれないので。笑 また、インストラクター検定の学科試験では、この本の内容から試験内容が出題されるんです。私自身も、この本はインストラクターになる前から持っていて、何度も読み返しています。お風呂の中で本を読むクセのある私は、この本はくしゃくしゃです。笑
ただ、この本のおもしろい特徴として「大事なところが強調されて書かれていない」という、本としてあるまじき特徴があります。笑 これはイントラに聞けば全員が全員答えると思います。笑 ちゃんと読めばわかるけど、、、、、みたいな本です。笑
ですが、しっかりと読み込めば「なるほど」と腑に落ちることが何度もあります。そして、その「腑に落ちる」という状態はインストラクターになった今でもあります。この理由は、自分の滑りのレベルによって感じる箇所がかわるからだと思います。そういった意味でいつも新しい気付きを常に与えてくれるとても良い本だと私は思っています。スノーボードを真剣にやる人はぜひとも持っておきたい書籍の一つです。
ただ、読み方を間違えると誤解を与えやすいなとも思っています。
それが今回の話に繋がります・・・。
この書籍のターンのメカニズムの項目で、「角付け」「荷重」「ローテーション」の3つがカービングターンで必要な要素と書かれています。
確かに上級者はこれら3つを適切に使い分けて、カービングのターン弧の調整やスピードのコントロールをしているのは事実です。(*ローテーションはいらないっていう人はいますが、その話はまたいつか。)特にDVDに出演されているようなとてもダイナミックなターンをする方は、上半身のローテーションを強く使って魅せるターンをする人もいますしね。私はそういったターンがとても好きです。やっぱ見ていてきもちいいですしね。
しかし、カービング初心者に対してカービングを教えるときは話は変わってきます。
自転車に乗り始めたばかりの人に、レースでのコーナーリングの方法を説明をしてもムダなのと同じように、カービングターンにこれから挑戦しようとする人にとって必要な要素は、上級者に必要な要素とは異なります。
では、カービング初心者の方にとって必要な要素とは何なのでしょうか・・?
■その1:「スピード」を出せること
カービングターンをする上でまず必要なのが「スピード」です。カービング初心者の方に一番最初に覚えて欲しい感覚は、「体の軸を倒すだけで曲がれる」ということ。これをするにはある程度のスピードが必要になります。
バイクをイメージして欲しいのですが、低速で体を傾けて曲がるということはできません。スピードが一定上あるからバイクを傾けても遠心力と釣り合ってターンしていくことが出来ます。
スノーボードもバイクなどと同じく、スピードが出ているときは体を傾けるだけで曲がっていくことが出来るんです。ただし、バイクでもそうですがそれには「遠心力」という力を借りる必要があります。遠心力はスピードを出せば出すほど大きな力を貸してくれます。なのでスノーボードでカービングターンをするのにもスピードが必要になります。
ただし!
それも安全に止まれるスピードであること!
これにつきます。
バイクでも中型以上大きいものは教習所に行って、安全な止まり方を習います。
スノーボードにおいてもまずは止まれることが何よりも大切です。両足を固定されているスノーボードは、慣れるまで「ちゃんと」止まることが難しいスポーツでもあります。「自分の意志」でしっかりと止まれるようにしましょう。
ここで一つ、あなたの滑りのテストをしてみましょう。
どんなテストかと言ったら、カービングに必要なスピードが出せているかのテストです。
次のことがゲレンデでできたら最初のステップはクリアです。
- コース設定:平均斜度10°以下の初心者コース
- 周辺状況:近くにスキーヤーまたはボーダーがいないこと
- テスト内容:まずは板を横向きにして停止状態をつくる。そから板を谷方向に向け(方法はジャンプしても何でもいいです)、直滑降の状態で3秒~5秒キープする。その後、安全に止まる。
斜度の状況によって多少変わりますが、直滑降で3秒~5秒は滑れるようであってほしいです。
だいたいこれくらいの時間、直滑降ができればカービングに必要なスピードは出ていると判断できます。もちろん雪面状況などにもよりますので100%保証する数字ではないですが、だいたいは大丈夫なはずです。
でも、いきなりやるとちょっと怖いなと思う人は、最初は1秒でもいいので徐々に長くできるようにするといいです。直滑降ができない・・・という方はまずはターンの質を上げることに注力しましょう。
また、直滑降ができる人のポイントは「しっかりと停止」することです。板が横を向いてから完全に停止するまでの距離が短ければ短いほど、スキルが高いと言えます。上級者は本当に「一瞬」で止まれます。それがエッジグリップでカービングのキレに繋がっていくんですけどね。
■その2:「角付け」ができること
カービングターンには一定以上のスピードが必要とうことで、そのチェックは先ほどしました。出来た方は次のステップとして「角付け」を覚えましょう。「角付け」とはスノーボードの板が雪面に対して立っている状態です。
スピードはカービングをするための前提条件みたいなものです。
この「角付け」がカービングをする上で一番大切です。これがないとカービングとは言いません。
そして、カービング初心者の方がツマづく最初のポイントでもあります。
普通のターンの覚え始めは、どうしてもズレの多 いターンになりがちです。それというのは体軸が傾けることができないからです。自転車でも体をターン内側に傾けて曲がれるようになるのには時間がかかるのと同じです。
また、ターンの覚え始めはインストラクターも軸をなるべくターン内側に入れないように指導します。
というのも、体軸を傾けない方が板がスライドしやすいからです。板がスライドしやすいとすぐに板がズレのポジションに移行してくれるんです。つまり、すぐに止まれるんです。
そうしてターンのやりはじめはなるべく恐怖心がでないように教えていきます。
しかし、カービングをやるのであれば、以前の「体軸をターン内側に傾けない」という動きから「積極的に体軸をターン内側に倒す」動きへと変わっていきます。まずはこの違いを理解する必要があります。
板は傾けるだけで曲がっていくんです。そもそもスノーボードはそういう風に作られています。例えば、スノーボードが定規のように長方形だったら?傾けてもターンせずにただ真っすぐ滑っていくだけです。
それが、スノーボードにはサイドカーブがあるため板を立ててあげれば「勝手に」曲がってくれるんです。
この感覚を体で感じることがカービングターンの第一歩です。正直、カービングの感覚を覚えるのであれば、角付け以外は何もいらないです。
荷重もローテーションも最初は必要ないです。むしろ意識してはダメです。
荷重を意識しすぎると、逆にオーバーエッジングになってズレの原因になりやすいですし、ローテーションを角付けが出来ていない段階から使ってしまうとそれもまたズレの原因になります。角付けが浅いときに上半身を回すと、その動きに下半身が追随して板が回ってきてしまうんです。そうなるとカービングにはなりません。
「じゃぁ、どうやって角付けの練習をすればいいの?」
はい。ご質問ありがとうございます。笑
いきなりゲレンデで試してもいいですが、私がお勧めするのはまずは平地で練習することです。
板を装着した状態で自分の前後に机やいすなどを置きます。そして、進行方向を向き軽くひざを曲げた状態で前後に体を倒すだけです。そうすることで板が雪面に対して立って、ちゃんと角付けができているか確認してみましょう。
この動きができたのであれば、実際にゲレンデで練習しましょう。ただし、斜度設定が重要です。
ようは初心者コース(平均斜度10°以下)でやるようにしてください。
体を倒して曲がるコターンのことを「軸倒しターン」や「棒立ちターン」などと言いますが、これらのターンは非常にスピードのつきやすいターンです。
「え?おれうまいから中級でも大丈夫やで」
と思う方もいるかもしれませんが、ここは一つ我慢して初心者コースでチャレンジしてみてください。
というのもあまり斜度がありすぎるとスピードが出過ぎてしまい練習にならないのです。
うまくなるにはステップをふんで徐々に難易度を上げるようにした方が結果的に上達ははやいです。
斜度設定の他にもう一つ大切なのが、ターン弧の大きさです。
最初は、ターン弧の幅は2m,3m程度が良いです。というのもあまり大きすぎると谷回りという別の要素が必要になります。
それはもう少しうまくなってからで大丈夫です。カービング初心者の方は、何よりも「体を倒すだけでカービングが出来る」という感覚をいち早く覚えることが上達への近道です。
ですので、ターンが浅すぎるのもよろしくありません。そういうターンは体のローテーションや後脚の振り出しを使って、無理矢理ターン弧を小さくしている可能性があります。そうではなく、自然に体を倒していけば、サイドカーブに沿って曲がってくれるのを感じてください。
そして最後に上達するための心のもち方をお話しして終わりにしたいと思います。
それは、焦らず・慌てず・諦めずです。
スノーボードは正しい動きをすれば、だれでも必ずカービングターンをすることができます。
焦る気持ちを抑えて、慌てるずに気持ちを落ち着かせて、そしてできなくても諦めないでチャレンジしてみてください。
■まとめ
カービングターン初心者が最初に知っておきたい2つの要素として「スピードを出せること」と「角付けができること」についてお話しました。
最初はついつい制御しきれないスピードになりがちです。そんなときは少しずつコントロールできるスピードをあげる訓練もしてみましょう。
今回はカービング初心者に的を絞ってお話ししましたが、今回の内容ができるようになったらまた新しいステップが待っていますのでお楽しみ。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。それでは、また。
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教程本のに書いてあるイージーカーブの事を解りやすく書いたのね。
この本の悪いところはまさにコーゾー君の言う通り、余計な事を書きすぎて肝心な事が解りにくいね。(笑)
作成にあたって沢山の人が関わり過ぎてるかもしれない!(正に船頭多くて船動かず状態かもね)
それぞれの項目は細かく書いてあるけど説明に流れがないと思います。
これからも解りやすい説明頼みますよ。
鈴木毅さん
コメントありがとうございます。
教程本は本当に各項目が細かく書かれていて、それぞれを独立で読むととても勉強になりますよね^^
ただ、鈴木さんのおっしゃる通り「説明に流れがない」と思います。
色々な方の悩みを解決ブログにするために今後も精進します^^
はじめまして、カービングについて、お聞きしたくメールさせていただきます。
スノーボードは、15年くらいやっています。スタンスはレギュラー、後ろ足の角度はほぼ0度です。フリーランおよび、カービングメインです。
質問です。
爪先側のターンがうまくできません。以下爪先側のターンです。上達方法をご教示していただけないでしょうか?
カービングで、爪先側のターンのとき、後ろ足がズレてしまいます。特に、急斜面のとき。
体が前に、下側に倒しすぎるのか?前につんのめる形になってしまいます。
根本的な話かもしれませんが、曲がる瞬間、角付け瞬間、の前足の動きはどうしてますか?同時に上半身は?
私は、一度足の裏がフラットになって、母しきゅうを中心に回し、内股にするイメージです。上半身は、首は回さずに、肩を入れ込む形にしてます。
うまい人は、曲がっているときに、後ろ足が内股になっていますが、どのような意識付けでそうなるのでしょうか?
最後にカービング全体の話ですが、板のねじれを利用して、かかと側で曲がるときは、後足を少し爪先側に体重をかけて、しならせる、とネットであります。自分では、うまくできないのてすが、何か方法はありますか?
長くなり申し訳ありません。まだ滑りに行くので、練習できたらと思いますのでよろしくお願いいたします。
コメントをメールでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
オギワラさん
はじめまして。こうぞうです。
ご質問の件に回答させていただきます。
つま先側のターンで「ズレ」てしまうとのことですが、ターン中のどのタイミングでズレるかで対処が変わってきます。
よくあるミスが「切り替え直後」のミスなので、その点についてアドバイスさせていただきますと、「腰」を「谷方向」に意識的に落としていく必要があります。
スノーボードは横ノリの性質上、つま先側のターンの場合、おしりがターン外側に出やすいです。
そうした姿勢のままターンしよしようとすると、いわゆる「くの字」姿勢になり頭が下がって不安定な姿勢になります。
それを解消するためには、「腰(おしり)」をいち早くターン内側に落とし込んであげる必要があります。
特に、「急斜面」だと「腰」をより「谷方向」に落とす必要が出てきますので、注意が必要です。
腰の重心移動の軌跡が斜面に対して、平行で切り替えが行えているか確認してみてください。
そうすることがつま先側のターンをうまく行うためのポイントです。
そしてもう一つの問い合わせの件ですが、こちらは板のトーションの練習方法ですね。
こちらは止まっているときに練習できますのでやってみてください。
単純に平坦な箇所で、前足のつま先を上げればトーションをつかえるはずです。
最後に、上半身の使い方ですが、これは基本的には「基本姿勢」を維持する向きにあることが基本です。
過度なローテーションをいれることでダイナミックに「魅せる」ことは可能ですが、それはあくまで「応用」です。
Aイントラでも過度なローテーションは不要です。