「おれって、バランス感覚がないからスノーボードもどうせできないっしょ。。。」
実は、そう思っているからこそスノーボードを難しいものにしてしまっています。 《バランス》という言葉は、実に曖昧な言葉です。コミュニケーション学でも「相手との距離感のバランスを取りましょう」と、よく言いますが、「相手とのバランスって?」となりませんか?スノーボードの《バランス》もそれと同じくらい定義が難しい言葉だと思います。今日は、たった一つの意識であなたのスノーボードライフが変わるお話をしようと思います。
「スノーボードはバランスをとるスポーツじゃないの?」
確かに、スノーボードはバランスのスポーツと認識されているかもしれません。ですが、実際の所こうやってバランスをとろうという意識が、バランスをとりにくくしてしまっているんです。言い換えると、バランスをとろうとするからスノーボードが難しく感じてしまうんです。
では、バランスをとっている状態ってどういう状態でしょうか?
例えば、あなたは今平均台の上にいるとしましょう。そして、片足でバランスをとってみてください。きっと次のようになるのではないでしょうか。
「お、やばい右に落ちそうだ、、
だから左にもどして・・・・
おっと、戻しすぎたから右に・・・・
おっとっとっと・・・・・
あ、やばい落ちる!」
ここまでではないにしろ、平均台の上で片足でバランスをとることは一般的に考えたら簡単なことではありません。
つまり何が言いたいかと言うと、
実は、バランスをとっている状態は不安定な状態ということです。
わかりますか?不安定な状態だから、バランスをとるために「頑張る」わけです。では、その「頑張って」バランスをとっている状態は「楽な」状態でしょうか?当たり前ですが、「頑張ってる」ので楽なはずはありませんよね。
常に「頑張って」バランスをとっていなければならないので、筋肉を常に緊張させる必要があります。疲れとは筋肉疲労でもあるので、「頑張って」バランスを維持することは疲れるんです。
なので平均台の上で、バランスをとる状態が何十分も続いたら体力も気力も使い果たしてしまいます。
実は、スノーボードでもバランスをとりながら滑っている人が多いとうこと。もし、あなたが少し滑っただけで疲れてしまうのであれば、それは「頑張って」バランスをとりながら滑っているから疲れるかもしれません。
スノーボードでもバランスをとるために、「頑張って」ポジショニングを修正するわけです。そうすると先ほど平均台を例にして説明した通り、疲れてしまうんですよね。
違うんです。
スノーボードの核心は、「バランス」をとることではないんです。
では、どういうことかと言うと・・・・・?
スノーボードはバランスのスポーツではなく安定のスポーツ
スノーボードはバランスをとるのではなく、始めから「安定」した状態でい続けることが大切なんです。
このイメージの違いはわかりますか?バランスをとるために「頑張る」のではなく、自分が「安定できる」ポジションで常に立っていること。
バランスをとる状態は、不安定な状態。安定な状態は、どっしりとして揺るがない状態です。
頑張ってバランスをとる必要はないんです。ただ、安定した状態でいるだけでいいんです。このたった一つの意識の違いだけで、滑りの質が変わるのがスノーボードです。
いままで何も考えずに、バランスをとりながら滑っているんだとしたら・・・明日から、いや今からは「安定する」ポジションで居続けるようにしましょう。
じゃぁ、スノーボードの安定なポジションって?
では、実際の安定な状態でい続けるためにはどうしたらいいのでしょうか?私の考える安定な状態のイメージは、地震対策などで最近使われる《制震》構造の建物のイメージです。
制震とは、地震時に発生する建物の揺れを制震装置が吸収し、地震エネルギーが建物に伝わりにくく揺れを低減する仕組みです。それにより揺れをしっかり抑えます。
スノーボードでは雪面の凹凸による振動を足元から受けます。これは地震と似ているところがあります。地震も地面が揺れそれが建物の振動へとつながります。その揺れから建物を守るために、「いかに振動を減らすか」の工法との一つとして制震があります。
図を見てもらうとわかるとおり、随所に振動吸収装置が置いてあり、それによって地面からの振動を抑えるという仕組みです。
スノーボードでもこの考え方がとても大切になります。
人間の骨格で振動を一番吸収してくれる箇所はどこでしょうか?
また、それがどのような状態だとより振動を吸収してくれるのでしょうか?
これら二つの要素をつきつめていくと、おのずと安定した姿勢へと繋がっていきます。
答えを言うと、ひざに”遊び”があると振動を吸収しやすいんです。で、そのひざに遊びを作るためには、ねじれが無い方が良い。
少し解説していきます。
例えば、ひざがねじれた状態(上半身と下半身が90度ずれている状態)で電車の立つのと、”気をつけの姿勢”で電車の中で立つのでは、どちらが安定でしょうか?
ひざがねじられてしまっていると、ひざの可動域は極端に狭くなります。そのため、安定の幅も極端に狭くなります。
ですので、電車で安定して立つためには膝はねじられていない方がいいんです。
そう考えを前提にしてスノーボードに置き換えると、、腰の位置は?頭の位置は?目線は?手の位置は?スタンスは?アングルは?
どういった状態だと安定した姿勢でいつづけられるでしょうか?
ひざがねじられないようにするために、アングルは前向きにした方がいいだろうし。
ダックスタンスではひざがねじられるので安定度は低いフォームと言えます。
また、腰の向きを極端に前にしたらひざがねじれてしまいます。
すべては、「安定した」ポジションを作り上げるためにあるだけです。どんな理論書やDVDを見たとしても、この根本が分かってなければ、意味がありません。
これを知らないでスノーボードの知識を得たとしても、それがなぜそうあるべきなのか分かりません。、つまり水をざるですくうのと変わりありません。
ですが、スノーボードは「安定」を維持するスポーツという意識を持つだけで、スノーボードに関する情報の捉え方が変わるはずです。
「なぜこのインストラクターは基本姿勢のアドバイスのときにこういう説明をするの?」
と、なったときにただ説明を鵜呑みにするのではなく、
「あ、この姿勢だと関節の可動域が広いから、安定度が高いのか!」
と、捉えるようにしてみてください。
そうすると、いろいろな人のアングルに対しての意味合いがわかってきます。
「あー、この人はこういう理由でそのアングル、スタンスなんだな」と。
この《スノーボードは安定のスポーツである》という考え方は、とっても重要でスノーボードの核心部分だと私は思っています。
まとめ
”スノーボードは安定のスポーツである”これは私が1年でA級イントラを取得するにあたっての根本の考え方です。どうやったら安定したままでいられるか。地面が荒れていても何食わぬ顔で滑っていられるか。そうするためには、あなたの各関節が雪面からの振動を吸収するためにはどのような姿勢でいたら良いのか?を常に問い続けることが大切なんです。今日も最後まで読んでくれてありがとうございました。では、また。
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